2009年11月12日

人間力

森繁久彌さんが大往生を遂げられました。

大御所の逝去は、さまざまな報道がされているので、
小生は、それらとは違った角度から、森繁さんを語ってみたいと思います。
小生、森繁さんとは、何度かお目にかかっております。

最初は、30年ほど前、
友人の役者が森繁さん主役の舞台・「屋根の上のバイオリン弾き」に出演していたことから、観劇後に楽屋を訪ねた時でした。
遠い廊下の先で、マネージャーらしき人たちと何やら立ち話をされている姿を拝見しました。
舞台の上とは違った“素の森繁久彌さん”に品格のある、ほのぼのとした人間性を感じた事を覚えております。

その後、撮影所のメイク室やセットへ移動される森繁さんを幾度か見かけましたが、やはり飄々たる風貌に品格を漂わせておられました。

そして、20年ほど前、お話をする機会が訪れました。
小生が書いた脚本・「仙人のいたずら」というテレビドラマに出演していただいた時でした。

森繁さん演ずる「仙人」が、大都会で不遇に生きる庶民を見て、ほんの少しの「いたずら(手助け)」をして、生きる勇気と希望を与える、というドラマです。
余談ですが、当時、まだ無名だった唐沢寿明氏や渡辺いっけい氏も出演しており、すでに売れる兆候を感じさせる演技をしておりました。

さて、森繁さんの話。
プロデューサーから、主役の仙人を森繁さんが引き受けて下さると聞いた時には「えッ!?」と固まりました。
大御所の出演決定に驚きと嬉しさ、そして、信じられないとの感情がないまぜになり、二の句が出ない状態でした。

スタジオでプロデューサーから森繁さんを紹介された時、
正直申しまして、お年を召されたな、と思いました。
しかし、品格にはますます磨きがかかり、辺りを圧倒する重厚なオーラを感じました。

小生、曲がりなりにも、40年近く芸能界に関わってきて、
数多くの大スターを目の前で見てきましたが、スター性は感じても、オーラというものを感じた事はありません。
もしかしたら、小生の感覚が鈍くできているからかもしれませんが・・・、
そんな鈍感野郎が、森繁さんを見て、オーラを感じたのです。

否、今思えば・・・、
あれは、オーラというより、もっと土臭いもの、
そう、“人間力”とでも形容すべく、
目に見えない、生きて闘ってきた人間の持つ“力”、
と、表現したほうが正しい気がします。

空手を修行する身としては、
人々を威圧するような力は必要ない、
ほのぼのとした、優しさ溢れる“人間力”を培い、
人々に、生きる勇気と希望、を感じさせられるようになりたい、そんな思いに至っております。

森繁久彌さん、
お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
ご冥福を祈り、合掌!




posted by 井上誠吾 at 09:37| 日記